【読書感想文】夏目漱石『夢十夜』

2021年4月16日

いえーい学生のみんな。読書感想文終わった?

いやなんかもうさ、メルカリで感想文売られてるらしいじゃないですか。500円とかで。
ていうか安すぎん?
どうせ売るなら一文字3円くらいで売ればいいと思うんですよね。
つまり2000文字で6000円。
自由研究だってどうせ売るならそのくらいで売ればいいんですよ。
君たちの抱えるその宿題にどのくらいの価値があるかを思い知らせてやればいいんですよ。

という訳なんですが、私大人になってしまった今、
今更ながら読書感想文とやらを書いてみたてうずうずしてたんですよ。
大人がね、夏にね、夏休みこども科学電話相談を聞いてみたり
さんすうのドリルを解いてみたくなるような現象なんだと思います。

ちなみにわたくし、小学2年生の時に校内読書感想文コンクールで銀賞を頂いたことがあります。
実力ですね、と言いたいところではありますが
8月30日に親にめっちゃ叱られながら半べそかきつつ
父による口述筆記を行った結果の銀賞でありました。時効でいいですよねこれ。
何が凄いって、原稿用紙に文字を書いたのは私だったとは言え
小学2年生らしい内容の文章を口頭で読み上げ続けた父の底力だと思います。

んで、書いてみました、読書感想文。
一応皆様の良識に対して訴えかけますが転載は禁止だよ。
メルカリとかそういうとこで販売するのも禁止だよ。
内容的にどこの宿題にも使えないと思うけど。

他にも書くかどうかは分かりませんが
今回は夏目漱石の『夢十夜』でございます。

夏目漱石『夢十夜』読書感想文

最近見た夢は、一人暮らしを始めて押入れの中に山ほどのゲームを隠してしまっていたらそれが大家にばれそうになり、友人の手を借りて必死に隠そうとしたところ大家から部こっぴどく叱られたと言うものである。しかも叱られた理由というのが、「勝手に部屋に人をいれてはならない」というものだった。筋書きも何もあったものではない。夢と言うものは大体覚えていること自体が稀で、目が覚めて覚えていたとしても大体脈絡がなくろくでもないものばかりだ。
文豪・夏目漱石と言えば人はどんな作品を挙げるだろうか。坊ちゃん、我輩は猫である、こゝろ。どれも名作と言われるものばかりだ。漱石作品は文学作品と呼ばれるカテゴリーの中でも比較的軽く読みやすい類のものだと思う。いわゆる、明治のラノベ作家のようなものではないかと思っている。読みにくさを感じるのは、その時代らしい堅苦しさのある文体のせいで、そこを現代風に書き換えてしまえばそれこそ『坊ちゃん』などは、破天荒な主人公が赴任先の学校で仲間と共に大暴れするような痛快な小説でしかない。
さて、『夢十夜』である。読みやすいといえば読みやすいことこの上ない。この程度の黴臭い文体なら、昨今のちょっと崇高ぶった創作小説あたりにごろごろ転がっている。文庫版では『永日小品』や『文鳥』などの短編と同時に収録されることの多い短編小説なのだけれど、これぞ明治のラノベの文豪、漱石の真骨頂とも言える作品ではないかと私は思う。タイトルの通り十篇の短い小話から成る作品であるが、ひとつひとつを独立させていると見せて一本の筋が通っている。とは言っても、ひとつの小話がひとつの作品として立っているので、そこだけ読んでしまっても充分に面白い。ツイッターのモーメントのようなものだ。
第一夜は、うつくしくも切なく、少し悲しい永い恋の話である。
第二夜は、切迫した人の業を抱えた侍の話である。
第三夜は、どこかで見た都市伝説のようなありがちな怖い話である。
第四夜は、何の脈絡も無いまさに夢らしい夢の話である。
第五夜は、バッドエンドの『走れメロス』のような話である。
と、このように、まさに私たちが明け方に見るような取り留めもなく筋書きすら怪しいような夢の話ばかりが続く。ふうん、と思って読んでしまうのだ。毒にも薬にもなりはしないただつらつらと書き連ねられた雑文のようでもあり、たとえば美術館で壁画サイズの後に展示物として並べられた習作を見せられているようでもある。ただ、さすがは文豪といったところか、習作のようであるのにへえなるほどね、と思ってしまう部分がある。それが面白い。
これがただの羅列された夢の話であれば、それは夢の話で終わってしまうのだろう。それが漱石が見た夢の話を取りまとめたものなのか、それとも単に本当の創作であったのか。前者であればただの駄作で、後者であったとしても「ふうん」と思う他ないものになる。けれど、『夢十夜』は短編ホラー小説なのだ。私はそう思う。『夢十夜』をホラー小説にするのは、第八夜からだ。
こんな夢を見た、と始まる話は夢の話なのだろう。そうではないものも、明らかに現実に起こるにはばかばかしくありえないと笑い飛ばせるものばかりだ。起きた瞬間はきっと気持ちの悪い汗にまみれて、布団の中で夢も現実も分からなくなるけれど、朝日を浴びて五分もすれば笑い話になるものばかりである。けれど、第八夜からは少し様相が変わる。物語は動く。動いて繋がる。けれど、その中身はやっぱりばかばかしく、なあんだ夢かと思ってしまってもおかしくない。
読後感を言葉で表すならそういうことだ。悪夢にうなされ寝汗にまみれた気持ち悪さで目覚めた朝。くだらない、夢か、と思うのだけれど、それを消し去るまでの不安感のようなもの。殺人鬼に襲われ殺されるすんでのところで目が覚め、夢だと分かっていても部屋の隅の薄暗がりに人の気配を探すような気味の悪さ。『夢十夜』とは、つまりそういう話なのだ。
ちなみに私は第七夜が一番好きだ。どこに向かうかも分からない船の中で絶望を感じた男が海に身を投げるが、投げた瞬間から死ぬのが惜しくなった、という話である。身投げの動機も軽ければ、よせばよかったという後悔も軽い。こんな夢は早く終わればいいと思うのに、なかなか海面には届かずただ諾々と死ぬまでの時間を過ごす。この手の夢は、夢を見ている最中の絶望感が凄い。そうして目が覚めたあとの不快感も凄い。こういう夢を見ると書き留めておきたいと、自分なら考えてしまう。もしかしたらかの文豪・夏目漱石も、そんな気持ちでこの物語を記したのかもしれないと思うと、勝手ながらなんだか親近感を覚えてしまうのだ。


どうですこの転載してもどうしょうもない感。

ちなみに所要時間ですが、友達とLINEしながら大体40分程度です。
つまりそのくらい全力でやればなんとかなるってことです。

ポイントはですね、

  1. あらすじをそれっぽくちりばめて文字数を稼ぐ。
  2. 内容になぞらえた実体験で文字数を稼ぐ。
  3. 「私はここが好きなんですよね!」で文字数を稼ぐ。
  4. 同じ内容でも言い方を変えて文字数を稼ぐ。

要するに文字数を稼いでなんぼってことです。

夏休みもあと2週間程度になっているかと思いますが
学生諸君、めっちゃ頑張れ。
最悪提出しなくてもめっちゃ怒られるくらいで済むからあんま深刻に考えちゃダメだよ!