被害者面が一番怖い:映画鑑賞「健太郎さん」

2024年1月28日

※ややネタバレ、アフィリエイトリンクを含む記事です。

2022年5月度のミッドサマーは合計2回となりました。
最近着実に視聴頻度が下がってきていますね。

これはもう何度も言っているんですが、ミッドサマーはホラーというよりグロテスク映画だと思っていますし、これを観て心が落ち着くという方は何らか別のリラックス方法を考えた方が断然健康にいいと思います。

5月度、久々にホラー会を開催しました。

オンラインホラー会もいいものですね。
適度にだらだらも出来ますし、ご時世にも配慮した優しい会だと思います。
ちなみにホラー会のポイントは「恐怖耐性が近い人とする」ことです。ここの乖離が激しいと観たい映画が全然決まらないので。

ホラー好きの「私もホラー苦手だよ」はショッピングモールに入っている国内ブランドの服が買えるのに「私デブだから」って言ってる人間くらい信用ならないと思った方が良いです。

今回、ミッドサマーが長すぎたので(2時間半ありますからね……)2本観たところで終了となったのですが、そのもう一本がちょうどいい感じのホラー具合、ちょうどいい長さの良い作品でした。

健太郎さん

うえだ城下町映画祭という、長野県上田市で開催されている映画祭で2020年(第18回)、自主制作映画コンテストにノミネートされた35分のショートムービーです。

父、母、息子、娘の四人家族である斎藤家。
ぱっと見、閑静な住宅街に駐車場付きのマイホームを構え、自家用車も持っている、平凡かつそれなりに裕福そうな家には、「健太郎さん」と呼ばれる中年男性が同居している。

食事のマナーが悪い、喋らない、娘と不気味な笑みを交わし、ひたすら奇行を繰り返す「健太郎さん」とは一体何者なのか。
「健太郎さん」に恐怖感を抱きながらも追い出そうとせず、彼をひたすら立てようとする斎藤家の面々の思惑は。

平凡な家庭に入り込んできた異物と、それを排除できない家族のいびつな日常は、北九州の事件や尼崎で起きた事件を彷彿とさせ、終始不穏な空気が流れる映像にどうしても最悪の結末を想像してしまうのですが、どうにもそんな簡単な話ではなかった。

↓ちなみに、予告編。

これだけでもう「健太郎さん」がどれだけ異様なのかが分かる。

健太郎さん役を演じる龍坐さんという俳優さんの演技がもうとにかく異様。
お姿だけを見ると細身で背が高く見え、ちょっとジャン・レノっぽいじゃん、とか思ったりもしたんですが、視線の送り方、振り返り方、歩き方、そのすべてが異質、異様、怖い。
こんな人家の中にいたら絶対耐えられない。

平凡で幸せだったはずの斎藤家にこの異物が入り込んだ理由は一体何なのか。
そういう理由が紐解かれていく、後半はやや駆け足のストーリーではありましたが、「ああ、そういうこと……怖……」という感想の漏れ出た映画でした。

人間なのか、もしかしたらこの世のものではない何かなのか、健太郎さんが斎藤家に居座るに至った経緯を知った後では、なんだかこの不気味な男性も哀しい存在に思えてきたりもするのです。

それにしてもホラーショートムービーっていいですね。
そういえば「ミッドサマー」のアリ・アスター監督のショートフィルムもいくつかありましたね。

「Munchausen」と「ジョンソン家についての奇妙な事」を観たことがあるのですが、やっぱこの監督やべえわ……という感想になりました。

ミッドサマーに心の癒しを求めている人、ほんと、ちょっと、1回休んでください。

映画

Posted by nikee